ごあいさつ
現在、これまでの化石資源偏重型社会からバイオマスやバイオテクノロジーを活用した循環型社会であるバイオエコノミーが世界的に注目されています。わが国では「2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現すること」を目標としたバイオ戦略が策定されていますが、米国や欧州連合(EU)、中国など主要各国においてもバイオエコノミー政策などの国家戦略が策定され、世界的にこの分野の競争が激化しています。中でも、「バイオものづくり」はバイオエコノミーを実現するためのキーファクターであり、微生物や植物を活用し、工業・エネルギー分野、食料分野、医療分野、環境分野といった幅広い分野でBX(バイオトランスフォーメーション)を実現しうる核技術です。
生物プロセス研究部門は、この産業界を大きく変革させる可能性の高い「バイオものづくり」を産総研で中心的に実施する研究部門です。微生物による物質生産、高機能植物の作出、有用微生物・生物資源の探索、バイオ×AI技術、といった様々な高度技術を開発しています。当部門に所属する微生物・植物・情報科学の研究者が積極的に産業界と連携することで、BXを加速し真のバイオエコノミー社会の実現を目指します。
生物プロセス研究部門 部門長
油谷 幸代
部門の概要
研究概要
生物プロセス研究部門では、新たな生物・遺伝子資源を開拓し、その解析・設計を通じて、機能性を有した物質等をバイオ技術によって生産するための以下の3つの重点課題を推進しています。
- 新規な微生物(叢)・遺伝子資源・生物機能の探索と利用技術開発
- 情報科学を基盤とした遺伝子、タンパク質等生体分子の解析と設計
- 遺伝子組換え・ゲノム編集技術等を利用した植物・微生物を基盤とした物質生産
これにより、社会課題の一つである物質循環社会の実現を目指し、バイオものづくりからの産業競争力の強化に貢献します。
研究拠点と連携推進
当部門は、北海道センターとつくばセンターの2つの研究拠点を有し、それぞれに5つの研究グループを設置しています。2拠点が密接に連携することで基盤研究から社会実装までを一貫して主導します。また、民間、大学等の研究機関と積極的な人材交流、共同研究を推進することで、研究成果の社会還元と人材育成に貢献します。