放線菌による“ものづくり技術”の開発

テーマ

Rhodococcus属細菌は、高GC含量のゲノムをもつグラム陽性菌で、有機溶媒耐性をもち、脂肪族、芳香族および複素環式化合物などを変換する生体触媒活性も強い細菌です。特に私たちが使用しているR. erythropolis細菌は、4-35℃という広範囲な温度域で増殖可能であるという特徴も併せ持ち、これまで使用されている汎用型の宿主とは大きく異なる表現型を有する細菌です。このことから、世界的にもRhodococcus属細菌は次世代宿主候補として宿主-ベクター系の開発が期待されていますが、汎用型の宿主-ベクター系として利用できる状況には至っておらず 研究開発の必要な菌でもあります。

Rhodococcus erythropolis細菌を宿主とした発現プラットフォームとして利用できれば、既存の宿主—ベクター系では実現が困難な新たな反応系・反応場あるいは生産系の構築が期待できます。そのため私たちは、各種発現ベクターに加えトランスポゾンベクター等を含めた遺伝学的手法による、細胞の機能改変技術を開発しています。実際には、タンパク質生産系(発現系)と分解系の制御による宿主細胞内のタンパク質蓄積効率を制御する技術開発や、宿主細胞の細胞壁の機能解析や改変を行い、タンパク質生産のみならず化成品生産に向けた物質変換や環境汚染物質の分解を目指したバイオレメディエーションへの利用等、幅広い用途に使用可能なプラットフォームの開発を行っています。