公開セミナー「陸生節足動物の体内に存在する植物ホルモン: 虫えい形成性の進化および昆虫による寄主植物操作との関連」をオンライン開催(11月22日)

トピック
2022-11-08

第19回ERATO共生進化機構先端セミナー

講師: 徳田 誠 博士(佐賀大学 農学部 准教授)
演題: 陸生節足動物の体内に存在する植物ホルモン: 虫えい形成性の進化および昆虫による寄主植物操作との関連
日時: 2022年11月22日(火)16:00 (JST)~(参加費無料・要事前登録)

講演要旨: 植食性昆虫の中には、植物組織を単に摂食するだけでなく、自身の生存のために様々に改変して利用するものが知られている。昆虫による虫えい(ゴール)形成はその典型例である。古くから、虫えい形成にはオーキシンやサイトカイニンなどの植物ホルモンが関与していることが指摘されており、近年の研究から、昆虫自身が体内でこれらの植物ホルモンを合成していることが明らかになってきている。昆虫における植物ホルモン合成能の起源を明らかにする目的で、さまざまな陸生節足動物の体内に存在する植物ホルモンを定量した結果、これまで想定されていたよりも広範な陸生節足動物が体内に植物ホルモンを有していることが明らかになった。とくにオーキシンは、分析したすべての陸生節足動物から高濃度で確認された。一方、サイトカイニンは一部の分類群でのみ確認され、虫えい形成者における内生量が有意に高いことが明らかになった。また、演者らによる最近の研究から、虫えい形成者以外の植食性昆虫も植物ホルモンを用いて植物を操作していることが強く示唆されている。これらを含め、演者らが現在取り組んでいるこれらの研究について紹介する。

関心ある方々の参加を歓迎いたします。
主催: ERATO深津共生進化機構プロジェクト
連絡先: 深津 武馬(生物プロセス研究部門首席研究員、t-fukatsu@aist.go.jp)