グルコース脱水素酵素IV (GlcDH-IV)

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Bacillus megaterium GlcDH-IV(グルコース脱水素酵素IV)

グルコース脱水素酵素は、血中のグルコース濃度の定量(グルコースセンサー)や、生体触媒反応系におけるNADH再生系として有用であり、一部実用化されています。Bacillus megateriumは4つのグルコース脱水素酵素のアイソザイムを持っていることが知られており、このうちアイソザイム4(GlcDH-IV)は、高い熱安定性を持ちながら常温で高い活性を示すという優れた特徴を持っています。しかしながら、GlcDH-IVは基質特異性が相対的に広く、グルコース以外の糖、例えばマンノースやキシロース、ガラクトースにも活性を示してしまいます。私たちはGlcDH-IVの構造をNADおよびグルコースが結合した状態で解析し、基質認識機構の詳細を考察しました。その結果、隣のサブユニットのC末端カルボキシル基が直接グルコースと接触し、活性状態を安定化させていることがわかりました。そこで、このC末端近傍のアミノ酸に対しいくつかのパターンで変異導入を行ったところ、著しく基質特異性が変化するアミノ酸残基を同定しました。最終的にG259Aという変異により、熱安定性や活性を野生型同等に保ちながら、グルコース以外のほとんどの糖に対して活性を示さないという、理想的な性質へと変化させることに成功しました。

関連論文
  • Nishioka T, Yasutake Y, Nishiya Y & Tamura T. (2012) Structure-guided mutagenesis for the improvement of substrate specificity of Bacillus megaterium glucose 1-dehydrogenase IV. FEBS J., 279(17), 3264-3275. [PubMed] [PDB codes: 3aus3aut3auu3ay6 & 3ay7]