フンで見つける魚の病気 ~バイオマーカーの特定に成功

トピック

微生物生態工学研究グループ 黒田 恭平 主任研究員、成廣 隆 研究グループ長らは、バイオメディカル研究部門 先端ゲノムデザイン研究グループ 竹内 美緒 主任研究員、国立研究開発法人理化学研究所 環境資源科学研究センター 環境代謝分析研究チーム 菊地 淳 チームリーダー、近畿大学農学部 永田 恵里奈 講師らとともに、冷水病に感染した魚のフンにさまざまな特徴的物質・微生物を発見し、これらを病気の早期発見のためのバイオマーカーに利用できることを明らかにしました。

この成果は国際学術誌「mSphere」にオンライン掲載されました。

(リンク:  doi.org/10.1128/msphere.00301-24

 

 

研究の概要

産総研のマイクロバイオーム解析技術、理研のメタボローム解析技術、近大の魚類感染実験技術を用いることによって、フン中の代謝物と微生物遺伝子を網羅的に解析し、水槽中にたまったフンに含まれる冷水病菌感染魚に特徴的な代謝産物と微生物の特定に初めて成功しました。アユやニジマスで世界的に深刻な冷水病は、ワクチンでの予防が困難なため早期診断が重要です。フンを用いることで、従来のように魚の組織を採取することなく非侵襲で診断でき、定期的かつ包括的な健康診断が可能になります。本技術はそれに利用できる複数のバイオマーカー候補を提案します。将来的には、冷水病のみならずさまざまな魚の早期魚病検出・簡易健康診断に利用できると見込んでおり、魚病による経済的な損失や環境負荷の低減に貢献します。詳細は産総研公式ページの研究成果をご覧ください。

 

本件に関する問い合わせ先

国立研究開発法人 産業技術総合研究所
〒062-8517 北海道札幌市豊平区月寒東2条17丁目2-1
生物プロセス研究部門 微生物生態工学研究グループ
主任研究員 黒田 恭平 (k.kuroda@aist.go.jp
研究グループ長 成廣 隆 (t.narihiro@aist.go.jp