末端修飾用リンカー

テーマ

目的

遺伝子解析や核酸医薬には、核酸の固相表面上への固定化、機能性分子との結合などが必要になる。この化学修飾には、化学的に安定で汎用性が高いアミノリンカーが頻繁に用いられる。しかしながら従来のアミノリンカーは、逆相カラムによる簡便な精製が困難なばかりではなく、水溶液中での反応性も不十分であり、アミノ化オリゴの純度とコスト面で改善が必要であった。

開発

我々は、アミノ基の近傍にカルバメート基を導入することによって、アミノ基のpKaや化学的性質が変化し、保護基であるMMT基が緩和な条件下で素早く脱保護されること、さらにアミノ基への化学修飾の効率が向上することを見出した。特にアミノ基とカルバメート基の間の距離が2炭素原子離れた構造(ssR-linker)で最も良好な結果が得られることを明らかにした。また最近では、オリゴヌクレオチドの3’末端の修飾に必要なリンカーも開発し、3’末端への化学修飾の効率を上げることに成功した。

  1. Kojima, N., Sugino, M., Mikami, A., Nonaka, K., Fujinawa, Y., Muto, I., Matsubara, K., Ohtsuka, E. and Komatsu, Y. Enhanced reactivity of amino-modified oligonucleotides by insertion of aromatic residue. Bioorg. Med. Chem. Lett., 16, 5118-5121(2006).
  2. Komatsu, Y., Kojima, N., Sugino, M., Mikami, A., Nonaka, K., Fujinawa, Y., Sugimoto, T., Sato, K., Matsubara, K. and Ohtsuka, E. Novel amino linkers enabling efficient labeling and convenient purification of amino-modified oligonucleotides. Bioorg. Med. Chem., 16, 941-949 (2008).
  3. Kojima, N., Takebayashi, T., Mikami, A., Ohtsuka, E. and Komatsu, Y. Efficient synthesis of oligonucleotide conjugates on solid-support using an (aminoethoxycarbonyl)aminohexyl group for 5′-terminal modification. Bioorg. Med. Chem. Lett., 19, 2144-2147 (2009).
  4. 特許第4336820号(2007年)
  5. US Patent NO.7491857号(2008年)
  6. DE Patent No. 1908829 (2014年)

実用化

[ssH-linker]

ssR-linker中で最も単純な構造である ssH-linker (R=H、水素原子)は、アミダイト試薬として国外の企業にライセンスされた。ssH-linkerを用いることによって、オリゴヌクレオチドのハイスループット精製と結合性能が向上する。そのため、同リンカーを用いたオリゴヌクレオチドは、マイクロアレイなどの遺伝子解析用プローブ、核酸医薬品における化学修飾など、幾つかの事業において利用されている。

[3′-Amino-CA-linker]

ssH-linkerとは異なる構造であるが、カルバメート構造を有するリンカーであり、オリゴヌクレオチドの3’末端の効率的な化学修飾に有効である。国内企業にライセンスされ、3′-amino-CA-linkerとしてオリゴヌクレオチドの受託合成に利用されている。