本グループが有する未知・未培養微生物の高度な培養技術、環境ゲノム情報解析技術等を相互補完的に駆使しながら、環境中(廃水処理プロセス、深部地下圏環境、植物-微生物共生系等)に棲息する未知微生物群の生理生態学的な解析と利用技術の開発を進めています。
具体的には、未だ広く知られていない植物—微生物間の共生系を新たに開拓するとともに、その共生的相互作用を活用して様々な植物の機能を強化・増強し、農作物など有用植物の付加価値向上図る技術開発や、バイオマスプラットフォームとなりうる水生植物の増産や新たな環境浄化技術(次世代植生浄化技術)、有用物質を蓄積する植物の物質生産技術等のバイオプロセス開発を、所内外の研究機関と共同で進めています。また、大気成分の消費プロセスを担う植物共生微生物の新しい生態学的役割に着目した研究にも取り組んでいます。特に、水素社会の到来に伴って大気中に大量に放出される間接的温室効果ガスの水素を、森林や農地にて消費する植物共生微生物群の特定と生理生態機能の解明を進めています。将来の大気成分変動に対応する新しい環境工学技術の開発に資する科学的知見の提供を目指しています。
さらに、陸域地下圏における重要な物質循環プロセスに寄与する未知微生物群の開拓とその新生物機能の解明に関する研究も進めています。特に、産総研 地圏資源環境研究部門(地圏微生物研究グループ等)ならびに民間企業と有機的に連携しながら、深部油ガス田環境において原油や石炭などの地下の根源有機物を分解してメタンを生成するプロセスを担う未知微生物群の特定とその新しい生理生態機能の解明を精力的に進めており、地下微生物機能を活用した新エネルギー創成技術の開発につながる基盤的知見の提供を目指しています。